マインドフルネスは仏教で悟りを開くための修行法である瞑想(禅)を、現代人が取り組みやすいようにアレンジされた心をコントロールするトレーニングです。
宗教色は取り除いていますから、どの立場の人やどんな宗教を信じている方でも取り組むことが可能です。
マインドフルネスの瞑想や実践は宗教ではありません。
近年、マインドフルネスは世界中で注目されています。
その理由は、脳科学の発展によってマインドフルネスの瞑想や実践が、私たちに大きなメリットを与えてくれることが科学的にわかったからです。
マインドフルネスの実践や瞑想を正しく実践すると、脳のあらゆる部位が厚みを増して発達します。
それに伴い脳の機能が向上することがわかりました。
その効果を見込んでGoogleやゴールドマンサックス、フォードやP&Gを始めとした大企業がいち早くマインドフルネスを、社内プログラムに導入しました。
目的は従業員の「生産性向上」と「メンタルヘルス」です。
Google社ではマインドフルネスの社内プログラムは従業員に非常に人気となっているそうです。
「心の安定」「落ち着き」「ストレス軽減」「生産性の向上」「ひらめき」「幸福感の増大」などをもたらしたと言われています。
企業だけでなくハーバードやスタンフォード、UCバークレーなどのビジネススクールでもプログラムにマインドフルネスを導入しています。
トヨタやYahoo!ジャパン、イトーキや資生堂などが社内研修に取り入れたりと、日本でもマインドフルネスを導入する企業が増えています。
アップルの創業者である故スティーブ・ジョブスがマインドフルネスに取り組んでいたことはあまりにも有名です。
その他にも
ビル・ゲイツ
クリントン元大統領
松下幸之助
稲盛和夫
レディーガガ
イチロー
長谷部誠
マイケル・ジョーダン
ジョコビッチ
タイガー・ウッズ
ニコールキッドマン
ミランダカー
といった誰もが知っているセレブやアスリート達もマインドフルネスの実践に取り組んでいる(いた)と言われています。
彼らが抱えるプレッシャーやストレスは非常に大きいものです。
それらを乗り越えるために、いろいろなことを試して実行したでしょう。
その中でマインドフルネスが最も効果的という結論に行き着いたというわけです。
一流のアスリートや経営者の中には、マインドフルネスと自覚せずにマインドフルネスを実践している人も少なくありません。
マインドフルネスは世界的な大企業やセレブ達だけが取り組んでいるのではありません。
アメリカやヨーロッパの先進国では「医療」「福祉」「教育」「更生」などにもマインドフルネスを導入して一定の成果を上げています。
特に医療分野での貢献は大きいと言われています。
うつ病を始めとする精神疾患、慢性疼痛、ガン、自己免疫疾患など、従来の医療で治すことが難しい病や症状が、マインドフルネスで改善する例があるのです。
マインドフルネスは投薬治療や外科的治療に伴う副作用や痛み、苦しみを伴うことがありません。
効果も投薬治療と同等かそれ以上に高いといった研究結果も出ています。
マインドフルネスがより広がれば多くの人を救う可能性があります。
しかし残念ながら日本の医療や福祉の分野には、まだまだマインドフルネスの広がりはありません。
個人レベルで取り組んでいる医療従事者はいますが、システムとしてはまだまだです。
少年院や女子刑務所では更生プログラムの一環として、いち早くマインドフルネスが導入されています。
マインドフルネスの定義は様々な解釈があると言われています。
日本マインドフルネス学会では「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」を定義としています。
簡単に言えば「今ここに意識を保つ」「自分の状態に気づく」ということです。
私たちの心は多くの時間「今ここ」ではなく過去や未来を行ったりきたりしています。
すでに過ぎ去った過去のことに思いを馳せたり、まだ来ていない未来のことを考えたり・・・もちろんこれらは無意識の行為です。
無意識に過去や未来に心が彷徨う時は、たいてい嫌なことが頭に浮かびます。例えば、不安や後悔です。
「どうしてあの時、こんな選択をしたのか?」「あっちの道を選んでいたら今頃は・・・」「明日の仕事嫌だな」「将来、年金はもらえるのだろうか?」
浮かぶだけであれば良いのですが、問題はそれに囚われてしまうことです。
囚われは不安や恐れ、後悔や自己嫌悪などの感情や思考を膨らませて私たちを苦しめます。
これが頻繁に起きることで、うつ病や不安障害を発症することがわかっているのです。
さらに囚われは精神だけでなく身体にも影響を及ぼし、次のような状態を招きます。
・身体が怠い
・やる気がなくなる
・日中の眠気が強くなる
・睡眠が浅い
・イライラしやすくなる
・感情が不安定
・体重の増減
・思考がストップ
・集中できない
・楽しめない
この状態で必要なのは休息や薬ではなく、囚われを手放すことです。
囚われを手放すためには「今ここ」に戻ってくることです。つまりマインドフルネスの実践です。
マインドフルネスの瞑想や実践に取り組めば、囚われを手放し苦しみや悩みは消し飛びます。囚われにくい心も手に入るのです。
マインドフルネスとは②につづく